クラウドファンディング徹底解説記事!これを読めば仕組みとメリットが分かる!
クラウドファンディングとは何かを解説!不特定多数の出資者が集まって資金提供を行い見返りが得られる
クラウドファンディングとは「特定の目的を持った事業法人、または個人に対して不特定多数の出資者が資金提供を行うこと」です。
クラウドファンディングを通じて資金を提供した出資者は各プロジェクトの状況報告を受けたり、様々な見返り(サービスや商品、現金などの受け取り)が得られます。
クラウドファンディング(crowdfunding)はcrowd(大衆)からfunding(資金調達)を行う、という意味で作られた造語になります。
仕組みを見ると、株式投資と近いものに感じられます。歴史自体はとても古く、しかも世界中で行われていることから、決して新しい発想ではありません。しかし、昨今のインターネットの発達により、以前よりもより手軽にクラウドファンディングが利用できるようになったことが注目されるきっかけになったのは間違いありません。
従来は「クラウドファンディングを行いたくても出資者を募るのが難しかったり、どのようにしてリターンを提供するのか…」といった問題点がありましたが、インターネットを始めとしたIT技術の進化により、情報伝達の向上、コストの低減などが実現されてより手軽に資金調達としてクラウドファンディングが利用できるようになったと言えるでしょう。
目次
クラウドファンディングの歴史や背景
クラウドファンディングは世界中で多発的に発生した手法なのですが、主にアメリカを中心に発達したと言われています。
クラウドファンディングにはいくつかの種類がありますが、大まかに分けると以下4点が挙げられます。
・Lending Club(貸付型)
・Kickstarter(購入型)
・Prosper(貸付型)
アメリカで2012年にJOBS法(the Jumpstart Our Business Startups Act法)を成立させることで、未公開企業でも一般市民からクラウドファンディングを通じて資金を調達できるようにしています。つまり、政府がクラウドファンディングを推奨することでIPO活性化を目指している、と言えますね。
この流れはアメリカだけにとどまらず、世界中で盛んに行われるようになり、日本国内でも注目される手法となりつつあります。
世界のクラウドファンディング市場
2014年の総調達額は約2兆円!
世界中のクラウドファンディング市場の調査を行っている「Massolution社」の「2015CF Crowdfunding Industry Report」 というレポートを見ると、2014年度の世界中のクラウドファンディングによる総調達額はなんとU$16.2BIO(約1兆9,440億円 1U$=120円換算)にも達しているとのことです。
地域別に見てみると、北米が全体のおよそ60%と最大の割合を占めていますが、注目すべきはアジア圏内です。前年比320%増加の大幅な伸びを見せており、その背景として中国市場でクラウドファンディングが活性化していることが見てとれます。
2015年はさらに倍増し4兆円の規模!
次に2015年度のクラウドファンディング市場規模を見てみると、引き続きアジアの大きな伸びがうかがえます。
このように、世界中の各地域でクラウドファンディング市場が着実に拡大していることが分かり、今後ますます目が離せない注目すべき資金調達方法として認知されるのは間違いありません。
日本のクラウドファンディング事情
それでは次に日本国内のクラウドファンディング事情について紹介したいと思います。日本のクラウドファンディングは当初はほとんどが「寄付型」「購入型」となっていました。
その背景として2011年の東日本大震災が挙げられます。致命的な打撃を受けてしまった大きな災害に寄付を募り、復興の手助けをする手段としてクラウドファンディングが用いられました。
それ以降クラウドファンディング自体の知名度が上がってきて、2014年度の国内プロジェクト関連のクラウドファンディング市場規模は約197億1200万円。そのうちおよそ8割は「貸与型(ソーシャルレーティング)」であると推計されています。2015年度にはおよそ44%増加の283億7300万円もの市場規模拡大が予想されています。
世界のクラウドファンディング市場と同様、日本でも年々クラウドファンディングの規模が大きくなっていることが見てとれます。
公共団体もクラウドファンディングに注目
クラウドファンディングを活用しているのは企業だけではありません。政府の方針を受けて地方公共団体や地域金融機関もまたクラウドファンディングを活用する試みがスタートしています。
今はまだ実験的な部分が大きいようですが、購入型、ファンド型のクラウドファンディングを活用した地域経済活性化に繋がる資金還流、域内循環を目指しています。
今後の方向性を決める法律の整備
日本政府もまたクラウドファンディングに寄せる期待が大きく、2014年5月に成立、2015年より施行される改正金融商品取引法が注目を集めています。
従来は事実上禁止されていた「株式型」のクラウドファンディングが解禁され、同時に「貸付型」「ファンド型」といった金融型クラウドファンディングが積極的に行えるようになっています。
これによって新規参入の業者・企業がクラウドファンディングを活用することでより手軽に資金を調達できるようになり、様々なサービスや商品の開発・提供、市場の活性化が期待されています。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングは大別すると「見返りを求めない寄付型、購入型」、そして見返りを求める「金融型」に分けられます。
さらに金融型から「ファンド型」「貸与型」「株式型」に細分化されます。
具体的には以下の表を参考にしてください。
寄付型 | 購入型 | 金融型 | |||
貸与型 | ファンド型 | 株式型 | |||
仕組み | ネットを通じて寄付金を募る。ボランティアや災害復興、海外の難民救済など財政的な支援に用いられる。 | プロジェクトやイベントなどで出資者を募る仕組み。原則として資金を返還されないものの、商品やサービスが得られる。 | 企業、または個人に資金を貸し付ける仕組み。最低1万円~10万円と比較的少額の投資ができる。 高い目標利回りに設定されていることが多いネット時代の新しい金融商品として注目。 |
特定の事業に対して出資者を募る仕組み。あらかじめ定められたスキームに則った配当が受け取れる。 | 非上場株式に対して出資者を募る仕組み。業績に応じた配当を受け取れる。 |
スキームの特徴 | 日本では東日本大震災で急速に広まった、という背景がある。地方公共団体や特定公益法人が相手ではないため、寄付者は税法上の寄付金控除が受けられないことがほとんど。 逆に金額によっては贈与税が発生する可能性もあるのでいくらまで寄付するのか把握する必要がある。 |
必ずしも投資と見返りのバランスが良いとは限らない。共感、支援、支持が核となる。 現在の日本のクラウドファンディングの主流で、投資することで新たな商品やサービスが生み出されることが最大の特徴。 価値の計りにくい見返り(サンキューメールなど)が期待できる。税法上、贈与とみなされる場合もあるので注意。 |
世界のクラウドファンディングのおよそ4割を占める。必ずしも返済されるとは限らず、貸し倒れのリスクはあるものの一般的には高利回りとされる。 現在の日本の制度では事業者への貸付が個別にできないので、クラウドファンディング営業者の審査能力が重要。 |
各事業プロジェクトに対して調達社に設立された匿名組合への出資を行う。配当はもちろん、商品やサービスが提供されることも多い。 1年~6年程度の中期にわたる投資期間のものが多く、クラウドファンディングの肝である「集合知」を反映しやすい。 |
それぞれの事業概要や計画をもとに、各出資者が企業そのものに対して出資する。 出資者は株主として経営に関与可能。しかし非常にリスクが大きく、必ずしも資金の回収ができるとは限らないので注意。一方で出資した企業が上場、買収などで大きな利益を上げるチャンスもある。 |
クラウドファンディングのメリットとリスク
クラウドファンディングは各種類によってメリットとリスクが異なってきます。寄付型や購入型など見返りを求めないタイプのクラウドファンディングは比較的リスクは小さいですが、金融型の場合は利回りだけに限らず、出資先の信用・事業内容・取扱業者の信用リスクなど幅広い視点で吟味した上で投資を決定する必要があるでしょう。
各クラウドファンディングの種類ごとのメリットとリスクは以下の通りです。
寄付型 | 購入型 | 金融型 | |||
貸与型 | ファンド型 | 株式型 | |||
メリット | 数多くの寄付案件の中から自分自身の以降に沿ったものに寄付できる。インターネットを経由することで手軽に寄付できるほか、自動で定期的に寄付を継続できるものも増えてきた。 | 自分が共感できる、支持したいと思えるプロジェクトに出資者として参加し、遺体考えられる。またサービス、商品などを通常よりも早く手にできる可能性が高い。 | 一般的な預金、国債よりも高利回りが期待できる。また他の金融商品と比べて短期間で結果が得られることも多い。 | 個別のプロジェクトを自分自身で吟味しながら投資できる。事業の進捗状況に沿った配当が受けられるので事業者との一体感も大きい。また配当とは別に商品やサービスなどを受け取れるケースも。 | 従来は投資することが難しかった非上場株式への投資が手軽にできるようになった。売り上げ高、利益に応じた配当が期待でき、将来的に株式売却によるキャピタルゲインも期待できる。同時に株主としての発言権も持てる。 |
リスク | 寄付行為なので基本的にリスクは無い。ただし不正利用される可能性もあり、最悪の場合寄付行為が全く無意味になってしまうことも。 | せっかく投資したのに製品やサービスが完成しないまま終わってしまう可能性もある。また当初の出資額では完成まで至らないという理由で追加出資を求められることもある。もちろん出資するか否かは自分で決められる。 | 原則として個別の事業に直接出資できるわけではないため、クラウドファンディング業者の力量によるところが大きい。実情が把握しづらく、お金がどのように使われているのかが分かりにくい。また海外案件では為替リスク、為替手数料の可能性も考慮する必要がある。 | 調達者の倒産など元本割れのリスクがある。また原則として自分自身が運営方法に関わることはできない。 | 調達者の倒産や事業の不調などキャピタルロスのリスクがある。同時に非上場株式への投資になるため流動性は著しく低く、返済期日も設けられていないので簡単に換金することができない。 |
調達者側から見たメリットとリスク
次にクラウドファンディングで資金を調達する側から見たメリットとリスクも紹介します。
寄付型 | 購入型 | 金融型 | |||
貸与型 | ファンド型 | 株式型 | |||
メリット | インターネットを媒体にすることで、不特定多数の個人、団体から幅広い寄付を募れる。また返済の必要が無いのも大きなメリット。 | 資金を返済する必要が無いため、売上と採算だけ考えれば良い。調達額に応じた商品開発・サービス開発に取り組める。 | 適切な利息の範囲内で資金調達ができる可能性が高まる。これまでは融資を受けられなかったようなケースでも資金が集められるようになる。 | 事業単位ごとに資金を調達できるようになり、成果に応じた配当を行う仕組みなので事業リスクヘッジとしても優秀。 | 資本金の形で資金調達を行うため、返還の義務が無い。自己資本の充実に繋がる。 |
リスク | 特に無し。 | 期日までに資金が集まらず、事業がままならないリスクがある。またアイデアを提示した上で資金が集まるため、アイデアの流出が怖い。 | 返済不能に陥った場合第三者に債券を売却されてしまうリスクがある。 | 事業のアイディアなど流出のリスク。 | 小口株主が増えるため管理コストが必要。また事業運営にも株主として口を出してくるリスクがある。 |
ケース別クラウドファンディングの活用方法
それでは最後に目的に合わせたクラウドファンディングの選び方についてまとめました。
出資者として活用
・新商品や新サービスの開発に協力したい、いち早くこれらを手に入れたい:購入型クラウドファンディング
・個人や企業に資金を貸付けて金利収入を得たい:金融型/貸付型クラウドファンディング
・商品やサービスのプロジェクトに出資して報酬に応じた配当を得たい:金融型/ファンド型クラウドファンディング
・ベンチャー企業など非上場株式の株主になり将来性に賭けたい:金融型/株式型クラウドファンディング
調達者として活用
・新しいアイディアによるサービスや商品の開発のための資金を募りたい:購入型クラウドファンディング
・事業や生活に必要な資金を低金利で借り受けたい:金融型/貸付型クラウドファンディング
・新事業プロジェクトに出資してくれる人を探したい:金融型/ファンド型クラウドファンディング
・ベンチャービジネスのための資本金を集めたい:金融型/株式型クラウドファンディング
終わりに
今回はクラウドファンディングに関する基本的な部分や種類、メリットやリスクなど総合的な解説を行いました。ポイントをまとめると次のようになります。
・世界的にも注目されている手法で年々市場規模が拡大している
・日本国内でも東日本大震災を境に注目されるようになり、今なお拡大傾向が強い
・実に様々なクラウドファンディングの種類があり、それぞれに特徴とメリット、リスクがある
企業・個人側としては従来のように銀行などの金融機関から資金調達ができない環境でも、クラウドファンディングを利用して資金を調達できるようになったのは大きいのは間違いありません。
何をするにしてもまずは資金が必要不可欠。IT技術の進歩によりクラウドファンディングが発達することで以前と比べてずっと簡単に資金調達ができるようになりました。これにより新たな選択肢が得られやすくなっています。
資金を提供する側、つまり出資者側からしてもクラウドファンディングを通じてより手軽に資金提供ができるようになったのも大きなポイントだと言えるでしょう。
これからもまだまだ拡大することが見込まれているだけに、新しい投資スタイルとしてクラウドファンディングについて1度検討してみてはいかがでしょうか。